珈琲時計店 peace world

珈琲時計店

扉をあけた aketa 空気が進み 鈴の音が聴こえる  カフェオレに? それとも、 カプチーノに? (時をすすめられる) ことばを選択し 硬貨をトレーに置いた oita 行いを ことばに置き換えた 新聞を手に取り totta 片隅に向かう mukatta マフラーとコートをゆっくりとはずし hazu…
羽ひらく前の時空(とき)

羽ひらく前の時空(とき)

詩誌『折々の』No61 2024年3月1日 発行 今回は「雨蛙」という詩を載せています。 「雨蛙」 一擲の水音は瞬時に 耳を閉じ込める かえる 蛙 鳴くなよ かえる 水田に囲まれた ちいさな家で暮らし始めたころ わたしは眠れないと言ってはよく泣いた かえる 蛙 鳴くなら かえる ひろい水田に囲まれた…
目にはさやかに見えねども

目にはさやかに見えねども

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 折々の詩誌No60ができあがりました。 20周年の節目となる今号に参加させていただき とても嬉しく思います。 秋が急に進み、まだかなと思っていた紅葉は 寒さのあまり木々は落葉へと慌ただしく歩を進め 今年は色鮮やかに移りゆく山々の景色を眺める時間は 少ない…
隠れ鬼

隠れ鬼

この角を曲がれば もうすぐに 重みの含まれた手桶の水は 歩くたびにぐらりと揺れた 傾いた片方の肩を引き上げ 持ち手を握り直す 柄杓の柄に水が湿潤していく 感触がわかる ふと呼び止められて 鬼は何処にと尋ねられる 隠すことはできそうになかった あの角を曲がれば もうすでに 黒蝶は美しく 追われるものと…
こだま

こだま

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 詩誌『折々の』No.59 2023年7月1日 詩作品「こだま」を収めております。 「こだま」に寄せて。 手を引かれて山に入っていました。 春には春を。夏には夏を。 秋には秋を。冬には冬を。 それぞれの季節を。 季節は巡ってくることを。 わたしたちは、そし…
栴檀の木の下で

栴檀の木の下で

栴檀の木の下で待っていたのは あなたのうた 詩の毛並みは 栴檀の葉よりも やわらかく 栴檀の葉を食み 静かに紡いでいる 揺れる葉から零れた雫は あまりにも暖かい 五月の雨宿り 栴檀の木の下で待っていたのは 決められていた あなたとの出会い 詩の明眸は 栴檀の葉よりも やわらかく 栴檀の葉を食み いま…
Advent アドヴェント peace world

Advent アドヴェント

OLYMPUS DIGITAL CAMERA この物語が終わったら 扉の向こうに来てね と あなたは静かに微笑んだ クリスマスの前の夜に 最後の扉を開いて ちいさな一つの星の下に 抱かれている あなたを見つけた 扉の向こうには あなたの物語がまだ きらきらと輝いていて わたしに静かに微笑んでいた ク…
十月桜の翅 グリーフケア

十月桜の翅

目覚めがたとえ 冬に向かう季節だったとしても いつかの記のように わたしの指先は あなたの冷たい頬に誓うだろう 手放してゆくことは 別れではない 舞い上がる花びら一片でさえ 自らの旅を空に描いている       『十月桜の翅』より…
水浅葱の海に漂うように

水浅葱の海に漂うように

水浅葱(Aqua Green)に常盤(Evergreen)を配した表紙の 広島県詩集 2022年版 第33集が発刊されました。 出版記念会と講演会にて。 詩を傍に生きる方々とお会いすることができました。 はじめてお会いした方々と 名刺代わりのようにお互いに 持参した詩集をそっと開き、その方の詩を拝読…
ふたつの peace world

ふたつの

文芸ひろしま 市民文芸作品集第32号(令和4年2月発行) 広島市内の本屋さんに並んでいます。 子どもから大人までの そして たくさんの広島からの声を 感じて頂けたらと思います。 作品を収めていただきました。 『蝉の唱』  2020年の広島の夏。 そして 10年前の文芸ひろしま 第27号に 収めていた…