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十月桜の翅 グリーフケア

十月桜の翅

目覚めがたとえ 冬に向かう季節だったとしても いつかの記のように わたしの指先は あなたの冷たい頬に誓うだろう 手放してゆくことは 別れではない 舞い上がる花びら一片でさえ 自らの旅を空に描いている       『十月桜の翅』より…
『おおはくちょうのそら』へ peace world

『おおはくちょうのそら』へ

幼いころ 抱えきれない 一冊の空色の絵本があった なんども きいて 哀しみは空に映ることを知った なんども ふるえて 悲しみを空に描くことを知った なんども ないて 人間の涙と愛しみを覚えていった そらに うかびあがる おおきな しろいつばさを 瞳の奥に留めつづけて 大人になった 抱えきれない悲しみ…
曼珠沙華 グリーフケア

曼珠沙華

曼殊沙華が咲いている 蠟燭に火が灯る 稲穂の傍らのあかい畦道は 人間に理由のない停止を求め 真の人間となる 言葉を諳んじることができるかと問うていた    はつ宮まいりから口を鎖して、    ふたつまで言葉は出なかった。   お寺のえんであそぶようになり、    しぜんと赤いほんを諳んじた。  むっ…