珈琲時計店 peace world

珈琲時計店

扉をあけた aketa 空気が進み 鈴の音が聴こえる  カフェオレに? それとも、 カプチーノに? (時をすすめられる) ことばを選択し 硬貨をトレーに置いた oita 行いを ことばに置き換えた 新聞を手に取り totta 片隅に向かう mukatta マフラーとコートをゆっくりとはずし hazu…
無音の庭のなかに

無音の庭のなかに

広島県詩集 第34集(2024年版)出版されました。 今回は『詩人を見舞う』にて参加いたしました。 広島県内の詩人の綴るアンソロジーを 是非お手に取っていただけましたら嬉しく思います。       『詩人を見舞う』  Kotoha Matsuo           庭の姫林檎の枝をお渡ししたの 互い…
ちいさな灯のなかへ

ちいさな灯のなかへ

寒さなど季節的なこともあり、直前のご案内となりました。 文学フリマ広島 2024年2月25日(日曜日)11:00~16:00 広島県立広島産業会館 東展示室 (詳細は文学フリマ広島webにてご確認ください。) 文学を愛する小さな灯の数々が集まります。 みなさま、お風邪を召されませんよう。お気をつけて…
羽ひらく前の時空(とき)

羽ひらく前の時空(とき)

詩誌『折々の』No61 2024年3月1日 発行 今回は「雨蛙」という詩を載せています。 「雨蛙」 一擲の水音は瞬時に 耳を閉じ込める かえる 蛙 鳴くなよ かえる 水田に囲まれた ちいさな家で暮らし始めたころ わたしは眠れないと言ってはよく泣いた かえる 蛙 鳴くなら かえる ひろい水田に囲まれた…
目にはさやかに見えねども

目にはさやかに見えねども

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 折々の詩誌No60ができあがりました。 20周年の節目となる今号に参加させていただき とても嬉しく思います。 秋が急に進み、まだかなと思っていた紅葉は 寒さのあまり木々は落葉へと慌ただしく歩を進め 今年は色鮮やかに移りゆく山々の景色を眺める時間は 少ない…
隠れ鬼

隠れ鬼

この角を曲がれば もうすぐに 重みの含まれた手桶の水は 歩くたびにぐらりと揺れた 傾いた片方の肩を引き上げ 持ち手を握り直す 柄杓の柄に水が湿潤していく 感触がわかる ふと呼び止められて 鬼は何処にと尋ねられる 隠すことはできそうになかった あの角を曲がれば もうすでに 黒蝶は美しく 追われるものと…
こだま

こだま

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 詩誌『折々の』No.59 2023年7月1日 詩作品「こだま」を収めております。 「こだま」に寄せて。 手を引かれて山に入っていました。 春には春を。夏には夏を。 秋には秋を。冬には冬を。 それぞれの季節を。 季節は巡ってくることを。 わたしたちは、そし…
栴檀の木の下で

栴檀の木の下で

栴檀の木の下で待っていたのは あなたのうた 詩の毛並みは 栴檀の葉よりも やわらかく 栴檀の葉を食み 静かに紡いでいる 揺れる葉から零れた雫は あまりにも暖かい 五月の雨宿り 栴檀の木の下で待っていたのは 決められていた あなたとの出会い 詩の明眸は 栴檀の葉よりも やわらかく 栴檀の葉を食み いま…
0.1番線にて

0.1番線にて

伝え忘れたまま 0.1番線で列車をぼんやりと見送った 旅のあいだを 静かに横切った あの密やかな約束は 片方の指を見失ったまま (略) ゼロ・イチ番線で待っているから とだけ伝えていたから あなたはきっとまだ 列車に乗ったまま 指と指のあいだを 密やかに通り過ぎてゆく 伝えられなかった言葉は どちら…