peace world
5
11月
2021
幼いころ 抱えきれない 一冊の空色の絵本があった なんども きいて 哀しみは空に映ることを知った なんども ふるえて 悲しみを空に描くことを知った なんども ないて 人間の涙と愛しみを覚えていった そらに うかびあがる おおきな しろいつばさを 瞳の奥に留めつづけて 大人になった 抱えきれない悲しみ…
詩
16
10月
2021
夕焼けに落ち着く時間に 学生鞄を手に駅に降りる 夕陽は線路を越える陸橋の真ん中で 真っ直ぐに延びる線路に 橋の影をうしろにずらし 美しいよつつじを描いて 今日と明日に再会の約束を結んだ むかしながらの駅長に 定期をみせて改札口を抜けると むかしからの友人が 石段の真ん中あたりで おかえり と声をかけ…
グリーフケア
17
9月
2021
曼殊沙華が咲いている 蠟燭に火が灯る 稲穂の傍らのあかい畦道は 人間に理由のない停止を求め 真の人間となる 言葉を諳んじることができるかと問うていた はつ宮まいりから口を鎖して、 ふたつまで言葉は出なかった。 お寺のえんであそぶようになり、 しぜんと赤いほんを諳んじた。 むっ…
peace world
16
7月
2021
迎える はじまりを わたしたちは 見送ることしか知らない 笹舟は 流れに抗うことを知らない 星たちは 空に抗うことを知らない 祈りは すべてに抗うことを知らない すべての ことばを留める わたしたちは こころの居場所を知らない 忘れたい ことばを包んで 南の島へと 向…
詩
4
6月
2021
小さいころ 紫陽花の葉の裏をそっと覗くと 悲しみを食べてくれるという かたつむりが 涙を静かに拭ってくれました 今年も 昨年も 雨の降る その日に 葉の裏をそっと覗いて ちいさく呼んでみるのですけれど かたつむりはまだ どこかへ行ってしまったままのよう 傘に触れる雨の音色とともに ゆっくりと良き…
詩
4
5月
2021
空泳ぐ風は 青く 海色の風は 等しく 山には静かに風が戦ぎ 木々の囁きを聴く 穏やかな春の風とともに ひとときの時間を自然に帰して OLYMPUS DIGITAL CAMERA いましばらく 往けない場所へ 会えない方への 想いを馳せて …
桜色の表紙の子どもの詩誌「青い窓」が届きました。 青い窓は福島県のお菓子屋、柏屋さんに活動の拠点があり、 昭和33年(1958年)からの長い歴史のなかで 詩をとおして心豊かなこどもに育って欲しいという願いを 繋いでいらっしゃる会です。 詩誌をいつも楽しみに拝見しています。 柏屋さんの嘉永餅をいただき…
絵画
10
3月
2021
レモンにオレンジ。 ことばのついた果物たちが島の香りを運んできます。 ことばのついた生ひじきに生わかめも海の香りを運んできました。 ことばのついたそれらを 手から手にいただくとき いただいた方の心に触れて いただいた方への、そして自然への深い感謝の気持ちが溢れます。 小さなアレンジメントのお花が届き…
peace world
23
1月
2021
「アンネのバラ Souvenir d' Anne Frank」 貴女のバラがこの地で咲く あなたの願いを わたしたちは 歩むことができているでしょうか けんみん文化祭ひろしま2020にて 現代詩を作品集に収めていただきました。 作品はけんみん文化祭ひろしま文芸祭HPにて公開さ…
高知こどもの図書館企画 「平和のために本ができること」 へいわごとじぶんごと の巻頭メッセージを担当させて頂きました。 多くの方々の想いが込められた 一冊にご一緒できたことに感謝しております。 遠くても世界のひととの繋がりを日々感じながら そして近くの人々を想いながら。 目の前に広がる世界のなかで…