羽ひらく前の時空(とき)
02/18/2024(日)
03/18/2024(月)
詩誌『折々の』No61 2024年3月1日 発行
今回は「雨蛙」という詩を載せています。
「雨蛙」 一擲の水音は瞬時に 耳を閉じ込める かえる 蛙 鳴くなよ かえる 水田に囲まれた ちいさな家で暮らし始めたころ わたしは眠れないと言ってはよく泣いた かえる 蛙 鳴くなら かえる ひろい水田に囲まれた 灯りの乏しい夜に蛙はよく泣いた わたしは暫くちいさな家から離れていた 静かな雨が降り続き そのころ わたしは帰りたいと言ってはよく泣いた 「雨蛙」より部分