いつかの記のように

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詩誌「折々の」No58 2023年3月1日

同人の諸先輩の方々の詩作品と共に
はじめて詩作品を収めさせていただきました。
毎月の「折々の」合評会はいつも柔らかな空気のなかで
過ごしております。

『十月桜の翅』に寄せて。
あなたと歩み、多くのことを教わりました。
出会いをいただいたことに感謝を込めて。
ひとひらの花びらに乗せて
あなたを故郷まで運んでくれますように。

「ほんもの」が消えてしまわないように。
先生のお声とお言葉を胸にこれからも一緒に歩んでまいります。

『十月桜の翅』

目覚めがたとえ
冬に向かう季節だったとしても
いつかの記のように
わたしの指先は
あなたの冷たい頬に誓うだろう

手放してゆくことは 別れではない

舞い上がる花びら一片でさえ
自らの旅を空に描いている

遥か遠く
わたしの指先は
清らかな雲を追いかけ
あなたの手渡してきた温もりに
愛と記して
十月桜の咲いた空の旅先まで
迎えに来たと
故郷の風に伝えるだろう

手放してゆくことは 終わりではない

歩んだ景色を一望して
舞い降りる花びら一片でさえ
自らの旅を描ききって
地に戻ってくるように

残してきたすべての愛が
きっとあなたを迎えに来ている

KotohaMatsuo
  • KotohaMatsuo
  • ことばの港はみえない港。
    日常のさまざまな風景に
    錨を降ろし
    船をやすめ
    柔らかな風を感じる
    穏やかなひととき

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